神戸市の税理士/入江会計事務所です。
今回も定款に記載する事によって法的な効力をもつ
「相対的記載事項」
についてお話したいと思います。
今回は「株式譲渡制限の定めに関する事項」についてです。
基本的に「株式」の譲渡は自由に出来るものです。
しかし今回のお話はそれを制限してしまおうという内容です。
何故、そんな事をする必要があるのでしょうか。それは少し先にお話することにします。
そもそも「株式譲渡制限」とはどういったことなのでしょうか。
「株式譲渡制限」は、会社法で「株式譲渡の自由」の【例外】とされている内容です。
この「株式譲渡制限」の文言を定款に記載することによって株式を譲渡するに際に「承認機関」
の決議が必要とすることが出来るというものです。
もっと分かり易く言うと、会社の株式を誰かに譲渡したい場合、
原則は自由だけれども、あまり勝手に株式の持ち主が変わっては困るので
「承認機関」を決めて、株式の譲渡に制限をかけましょう。ということです。
では、何故こういった「制限」をする必要があるのでしょうか。
新会社法が施行されてから資本金の額が1円からでも会社を作る事が可能となり、
「個人事業者」が「法人成り」する事が容易になりました。
このような事から新しく会社を設立される方々のほとんどがいわゆる「実質1人会社」
での設立となっています。
この「実質1人会社」とは、
会社の株式の90%以上を社長のみ、もしくは社長と社長の親族が保有し、
なおかつ会社の常務に従事する役員の過半数も社長と社長の親族で占める会社の事です。
こういった会社で株主にその親族達以外になってしまうと、
せっかく苦労して法人化したのに赤の他人に事業運営にまで口出しされかねないですよね。
こういった事の防止として、「株式譲渡制限」があるのです。
ここで気をつけなければいけないのは、この内容は「相対的記載事項」なので、
定款に記載しなければ法的な効果はないという事。
それでは実際に定款にはどのように記載するのか、記載例を挙げます。
(株式の譲渡制限)
第○条 当会社の株式を譲渡により取得するには、株主総会の承認を要する。
※あくまでも一例です。会社の都合により内容は変わります。
このようになります。
今回は「承認機関」を「株主総会」としましたが、
取締役会を置かない会社は「承認機関」を「代表取締役」とする事も可能です。
しかし、基本的には「株主総会」とする事がほとんどです。
以上が相対的記載事項の「株式譲渡制限の定めに関する事項」の定款記載例になります。
次回は相対的記載事項の「取締役の任期」に関する事についてお話したいと思います。
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